「毎月の締め作業が地獄です」——そう話してくれたのは、従業員120名規模の製造業A社の総務担当者でした。月末になるたびに紙の出勤票を集め、Excelに手入力し、集計ミスの修正に追われる。この状況を根本から変えるため、F LabelはクラウドベースのDX化プロジェクトを支援しました。
導入前の課題:3つの「見えないコスト」
A社では長年、以下の3つの問題が慢性化していました。
- 手集計ミスによる給与修正:月平均5〜8件の修正対応が発生、都度確認作業で総務の工数が圧迫
- 在宅勤務対応の困難:紙の出勤票では在宅・出社の混在管理ができず、コロナ以降の働き方変化に対応できていなかった
- 管理職の承認フロー非効率:残業申請を紙で回覧するため承認に平均2〜3日かかり、実態とのズレが常態化
導入プロセス:4ヶ月で完全移行
第1フェーズ(1〜2ヶ月目):現状分析と要件定義
まず総務・経営・現場の3者でヒアリングを実施し、「何を自動化したいのか」ではなく「何に困っているのか」を徹底的に洗い出しました。よくある失敗パターンである「機能過多なシステムの導入」を避けるため、最初の1ヶ月は現状フローの可視化に集中しました。
第2フェーズ(2〜3ヶ月目):システム選定と設計
A社の規模・予算・既存システム(給与ソフト)との連携要件を踏まえ、3つのクラウドサービスを比較検討。最終的には既存給与ソフトとのAPI連携が最もスムーズなサービスを選定しました。カスタマイズ要件も最小限に抑え、標準機能の範囲内での運用設計を徹底しました。
第3フェーズ(3〜4ヶ月目):パイロット運用・全社展開
まず総務部門10名で1ヶ月のパイロット運用を実施。現場からのフィードバックをもとに設定を微調整したのち、全社展開へ。移行時の混乱を最小化するため、旧システムとの並行運用期間を2週間設けました。
導入後の成果
月40時間の削減は、総務担当者2名換算でおよそ月次コスト削減効果25万円相当(人件費ベース)に相当します。また、管理職からは「スマホでどこでも承認できるようになった」との声が多く、在宅勤務時の利便性向上も大きな副次効果となりました。
DX化を成功させた3つのポイント
① 「全員が使える」設計を最優先にした
高齢のパート従業員も含む全員がスムーズに操作できるよう、UI/UXの簡素さを最優先の選定基準としました。機能が豊富なシステムより、現場が継続して使えるシステムを選ぶことが定着率を高める最大のポイントです。
② 現場の「なぜ変えるのか」への説明を怠らなかった
変化に抵抗感を持つ社員への丁寧な説明会を計3回実施。「便利になる」という抽象論ではなく、「月末の紙集計がなくなる」「残業申請がスマホで完結する」という具体的なメリットを伝えることで、現場の協力を引き出しました。
③ スモールスタートで確認しながら進めた
一気に全社展開せず、まずパイロットで問題点を洗い出したことが全社展開の成功につながりました。DXプロジェクトの失敗の多くは「完璧な設計を目指すあまり導入が遅れる」か「一気に展開して現場が混乱する」かのどちらかです。
「最初は正直、また新しいシステムか…と思っていました。でも今は月末が怖くなくなりました。」
— A社 総務担当者
まとめ:DX化は「ツール選び」より「現状理解」から始まる
今回の事例が示すのは、DXの成否はシステムの優劣よりも、導入前の課題分析と現場巻き込みの質にかかっているということです。「とにかくDXしなければ」という焦りで高機能ツールを入れても、使われなければ意味がありません。
F Labelでは、システム選定の前段階から支援し、「本当に必要な変革」を一緒に設計します。勤怠管理以外にも、請求書処理・在庫管理・顧客管理など様々な業務のDX化をサポートしています。